ロサンゼルスのダウンタウンへ

Civic Center, LA

 いつまでも空港近くのチボリホテルに滞在していても仕方がない。
 ダウンタウンに向かうことにしよう。初めて市バスRTDに乗る。行き先はロサンゼルスのダウンタウンだ。ダウンタウンは「繁華街」と訳すこともあるが、「ビジネスの中心街」、要するに「街の中心」ほどの意味である。チボリホテルからダウンタウンまで、$0.85。
 バス内はガムだらけ、落書きだらけで、乗客は老人、子ども、黒人が圧倒的に多い。乗用車を持たない、社会的にも足を奪われた人が多いようだ。
 マナーは悪くない。子どもらは老人に席を譲るし、運転手も乗客に丁寧に対応している。ただし、料金を払えないような無賃乗客には厳しく対処している。こうしたバスに乗ると、生活の匂いを感じる。
 ダウンタウンでは、黒人、メキシコ系、チャイニーズ系、スパニッシュ系が眼につく。多少怖い印象もあるが、その一方、親しみが持てる印象もある。

ダウンタウンは見ているだけで面白い。新聞売りの人、サンドイッチ屋、カフェテリア。
 ホテルを決めようと、アレクサンドリア(Alexandria)ホテルに入るが、部屋は満室のようだ。突然、少し不自然な日本語で、「住みたくないんでしょ?」と尋ねられる。何のことかと思ったら、初老の女性が、「この辺は危ない」、「ツアーで来ているの」、「泊まりたくないんでしょ」と言う。親切心なのかもしれぬが、余計不安になる。
 アレキサンドリアもクラークも、どちらのホテルもフロントデスクに、いわゆるWASP(White-Anglo-Saxon-Puritan)は見かけない。Hispanic(ヒスパニック), Mexican, Chinese, Japaneseと思える人たちが圧倒的に多い。食べ物屋もしかりだ。ダウンタウンから、WASPは逃げ出しているのだろう。しかし、みな親切だ。先ほどのMexicanのサンドイッチ屋さんも、俺たちのわからない英語を一生懸命聞いてくれた。
ダウンタウンでは、足の悪い人が多い。もしかしたら、ベトナム戦争の影響なのだろうか。
 今夜はダウンタウンの426 SO.Hilll streetのホテルクラークに泊まることにする。一人分の宿泊代は$39.10。