モナベイルへの行き方がわからないので、道を聞く

 植物園の散策を終えて、有名なモナベイルに行こうということになった。モナベイルというのは、エリザベス調の個人邸宅なのだが、一般に開放しているのである。モナベイルの歴史は、なんでも1905年くらいにさかのぼるらしい。植物園入り口の地図をみるが、肝心のその場所がよくわからない。
 博物館付近を歩きながら、モナベイルを捜す。それでもよくわからないので、たまたま散歩をしている一人の男性に聞いてみた。その男性は親切にも、「それじゃあ私についてきなさい」と言ってくれる。一緒に歩いていくと、先ほど散策した植物園を突っ切っていく。かなりの話し好きで、一緒に歩きながらいろいろと教えてくれる。彼の名前はインディジット=クマラスワミ(仮名)という65歳のインド人で、インド航空とマレーシア航空に20年ほど勤め、セミリタイアしたパイロットであるという。長い間、パイロットをしていたので、あちこちの都市をまわったが、中でもこのクライストチャーチがフレンドリーな雰囲気かつ安全で住みやすいと考え、ここに住むことに決めたと言う*1
 世界には住んでみたい10の都市というのがあるそうだが、クライストチャーチはそのベスト10に入っているらしい。そのベスト10には日本の福岡が入っているとつけ加えたので、「えぇ、それって本当の話なの」と聞き返すと*2、「あぁ、本当の話だよ」と、彼は優しく答えた。

*1:ニュージーランド―キウイたちの自然派ライフ (ワールド・カルチャーガイド)」というガイドブックの中で、吉田千春氏の書かれた「安全と言われる国にも犯罪はある」というコラムの中に、「クライストチャーチでは車の盗難が多い」「クライストチャーチならラティマー広場付近は要注意エリアだ」という記述がある。どんな国にも多少の犯罪はあるし、犯罪のない完全な都市や国がないことは言うまでもない。

*2:残念ながら私は福岡に住んだことはない。従ってここでの私の驚きは、福岡がベスト10に値しないというような価値判断をともなっての驚きではない。