ファカレワレワの間欠泉を見る

 ファカレワレワでは、所定の場所(Pohutu Geyser Look Out)で、噴出している間欠泉の噴水を見ることができる。風向きで変化するが、煙がもうもうと立ち上がっている。向こう側にも観察できる場所があり、たくさんの観光客が見物している。硫黄泉の噴水を観察するには、向こう側の方がよさそうだが、受付でもらった地図を見ても行き方がわからない。柵を修理しているマオリの女性に、「向こうに回るにはどこから行ったらいいんでしょうか」と道を尋ねると、「あちらの側には行けないのよ」という意外な返事が返ってきた。なぜと聞くと、「以前は順路がつながっていて、こちらからも行けたんだけど、今はルートが閉められてしまっていけないの」と言う。受付でもらった地図をもう一度見るとNo Access Past This Point(「ここから先は不可」)と印刷されているし、そういえば受付でボールペンで×を書かれたし、実際のルートも木の柵で閉鎖されていた。「いったんここを出て、また料金を支払えば、行けるけどね」と彼女はつけ加えた。「何故そんな風になっているんですか」と私が聞くと、彼女は一言、「政治よ」(“Politics.”)と答えた。どうやら権益をめぐって争いがあり、マオリ間での仲たがいがあるらしい。経済的に観光資源のことだけを考えたら、この間欠泉の噴水が出る土地の確保は重要だろう。政治的な争いごとの原因になってもおかしくはない。イギリス移民と土地戦争を戦った先住民族マオリは、敗北後、劣悪な状態に置かれ続けたが、1980年代からマオリ復活運動が盛んになり、土地問題や言語問題でも画期的な前進をみせている。ただ、保障問題でも、部族間の調停など、いまだに継続している問題が多いようだ。部族間の利害の調整など、むずかしそうな政治問題がありそうだと私は勝手な推測をした。