まず土曜の夕食は、牛肉の塩茹で

 ラグビーを楽しむ前に、まずは夕食だ。
 その夕食の前には、いつものようにチーズやクラッカーが出てきて、ビールなどを飲むのがアレックスの家庭の定番である。私もおつき合いする。今日は、ブルーチーズとカマンベールチーズ、そして日本のおせんべが用意されている。おせんべの上にチーズを乗せて、食べるという趣向である。ジュディも料理の合間に、好きな飲み物と一緒につまんでいる。
 本日の夕食は、一斤のパンの大きさ以上の牛肉を野菜と一緒に塩茹でにして、そのつけ合せとして、茹でたにんじん、カリフラワー、葱のクリームソース和え、マッシュポテト。これらを平らげ、みんなで洗い物を済ませて、TVラグビー観戦となる。
 ところで、この牛肉が、日本人には信じられない大きさである。あまりに大きいので、デジタルカメラで写真を撮らせてもらったほどだ。これをアレックスが電動ナイフで切る。「日本に電動ナイフはあるか」とアレックスに聞かれたけれど、そんなものあるわけないだろうと内心思いながら、「そんなものは使いません」と答えながら、彼の切り方を観察する。ローストビーフなどの大きい肉の塊を、薄く、といっても日本人から見れば「厚く」切るには、この電動ナイフを使うようだ。この牛肉の固まりは、親戚から子牛の肉をわけてもらったというので、値段のほどはわからないのだが、スーパーで買っても20ドルから22ドルくらいではないかとジュディが言う。野菜と一緒に塩茹でしているビーフに、自分たちで調合したマスタードをつけて食べるのだが、ローストビーフとはちょっと違って、油が落ちている分、上質のハムのような食感がある。今夜は暖めて、私が持参したワインと一緒にホットミールとしていただいたが、明日は、コールドミールでサンドイッチか何かでいただくことになるという。こちらの食事は、こうした流れが合理的にできている。
 ところで、いつも夕食後、1時間から1時間30分ほど経つと、アレックスがクッキーを添えてコーヒーを入れてくれる。これもこの家の定番だ。プライバシーを重んじるニュージーランド人が私の部屋をノックして、「コーヒーを飲むか」と尋ねられるので、これはまさに彼らのルーティーンと言うべきものなのだろう。