アレックスが可愛がっているケーシーという飼い猫

アレックスのお気に入り、ケーシー

 アレックスとジュディの家には猫が一匹いる。その名はケーシー。この日記では、登場人物は全て仮名にしてあるけれど、猫は、まぁいいだろう。
 隣に住んでいた中国人家族が飼っていた猫らしいのだが、その家族は事情があって、裁判沙汰になり、それから行方がわからなくなってしまったという。取り残されたケーシーの元の名はペーシーとかいって、名前が違っていたのだが、アレックスがこの名前が気に入らないということで、名前を変えたらしい。
 日中は、外にいて、とりわけスパの前の陽だまりの場所がお好みのようだが、夕方になると、家の中にいるのが好きなようで、アレックスやジュディの膝元に座ることが多い。結構太った猫なので、ジュディは常に迷惑そうだ。けれども、アレックスは、このケーシーが大好きで、まさに猫っ可愛がりの状態だ。夜もふけてくると、お気に入りのソファの一角を陣取って、眠りにつく。アレックスとジュディのベッドルームで眠ることもあるようだ。
 猫はご存知のように、独立心が強く、いたってマイペースであり、このケーシーも例外ではない。新しい住人である私なんかに見向きもしない。もともと猫があまり得意ではない私のこと、家で犬を飼っていた事情から、どちらかといえば犬の方が好きである。だから、猫も寄りつかないのではないかとアレックスに言うと、「私がケーシーと一緒に3ヶ月いることになる*1のだからすぐに(ケーシーが)慣れるよ」と言っていたけれど、どうにも私には自信がない。あの気位の高い猫が、私なんかに慣れるものだろうか。
 ところが昨日、サンルームでひとり読書課題に取組んでいると、ケーシーが鳴いている。甘えた声でどうやら家に入りたい様子なので、入れてやったら、お定まりの場所で食事をした。お腹がすいていたらしい。その後、また外に出たい様子なので、出してやった。
 読書を続けていたら、ジュディが帰ってきて、ケーシーを家に再度入れてあげた。ジュディとサンルームで一緒に読書をしていたら、ぷらっとケーシーがやってきて、突然私の膝元に飛び乗ってきた。
 本来猫好きでない私だが、アレックスとジュディの家に住み着く古参の者が、私を受け入れてくれたのだ。複雑な心境で、読書課題を読み続けていると、ケーシーが喉をしきりに鳴らしている。これは気持ちがいい心境なのか、それとも、何か怒ってうなっているのか。判断しかねるのでジュディに聞いてみると、猫が喉を鳴らすときはどうやら気持ちがいいとのことだ。どう聞いても、私にはうなっているとしか聞こえないのだが。
 それでも、これで3ヶ月もの長期の間、ケーシーとうまくやっていけそうな見通しができたのは結構なことだ。

*1:私はホームステイ経験をしたいがために、わざわざハミルトンまで来ているのだが、ジュディもアレックスも、私を一人置いてオーストラリアに行ってしまうと最近聞かされていた。