ケーシー危機一髪

 これは休み中のことだが、猫のケーシーは、日中は私のプライバシーを尊重してくれているようで、勝手きままに外にいる。夕食時も、私がゆっくり食事を取れるように配慮をしてくれているような気がする。夕食後は、真っ暗い中でテレビを観ながらくつろぐのが日課のアレックスやジュディと違って、夕食後も私は仕事をしたいのだが、この夜の時間帯は自分の時間と考えているらしく、やたらと私の膝の上にケーシーが乗りたがる。
 でっぷりと太ったケーシーが自分の毛並みを私の足に突然摺り寄せてくることが多く、「ゆっくり座わって休みましょうや」と、おねだりの様子だ。「結構私は急がしいんだよ、ケーシー。お前に構ってやりたいのはやまやまなんだけど、やらないといけないことも多くてね」と言いたいのだが、このコミュニケーションがうまく取れないで困っている。
 アレックスが「ケーシーは外が結構好きだよ」と言っていたのだが、朝など結構寒いから、猫という生き物に不慣れな私は、家の中の方がいいんじゃないかと思ってしまう。それで、中に入れると、今度は膝の上のおねだりだ。暖かい家の中のソファの上か何かで、勝手にひとりで寝てくれればいいのにと思うけれど、それはケーシーのライフスタイルにはないようだ。
 家の中に入れてやって、リビングにケーシーを置いて、私一人で自分の部屋に入ると、今度は私の部屋のドアを押し開けて入ろうとする。だから、ケーシーがミャーと鳴いて外に出たがると、これ幸いとばかりに外に出してやる。そうすれば私は仕事に没頭できるからだ。昨晩も、ケーシーが外で寝たそんな晩だった。
 ケーシーは早い時で朝の5時30分、6時にはいつも朝ごはんを催促するのに、今日は姿が見えない。外で探してみると、かすかにミャーミャーと鳴き声が聞こえる。屋根にでもあがっているのかなと思って放っておいたが、どうも様子がおかしい。再度、探してみると、どうやらガレージの中から泣き声がする。この前、アレックスが作ったスパの蓋の銀ガムテープが湯煙のためにはがれたので、道具を探すためにガレージを開閉したのだが、どうやらその時の私の閉め方がいけなかったらしい。隙間からガレージに入ったはいいが、今度はガレージから出られなくなったようだ。
 事故は起こるものですね(Accidents happen.)。
 そのままだったら、ガレージの中で脱水症状か餓死になるところだ。危ないところだったぞ、ケーシー。