クイーンズランドのクロコダイルにでもやられたのかと心配してたのに

 実はオーストラリアのクイーンズランド州の長男ポールのところに行っているはずのアレックスに、ここ数日何度か電話をしたのに、つながらなかった。何度かけても、「電話番号をお確かめ下さい」というメッセージが流れるばかりだった。電話番号を確かめようにも短縮ダイヤルだから、確かめようがない。
 電話の受話器をとり、スイッチを入れて、おそらくはメモリーの意味で、短縮ダイアルをあらわすMEMボタンと二桁の番号を押して、以前つながって、アレックスと話ができたから、変だなと思っていた。
 昨日ハミルトンに住んでいる次女のジョニから「郵便物で大事そうなものはないですか」と電話があったから、ついでに私から「オーストラリアのアレックスにかけてもつながらないんだけど」と言うと、「ああ、引っ越したんで番号が変わったのよ」と教えてくれた。
 なんだそれじゃつながらないわけだと思ったけれど、私のような親戚でもないものに家をあずけて、よく旅行なんかしてられるなとは思ってたけれど、息子の家が引越しを予定しているなんて聞いてないぞ。
 「それで元気なの」と聞くと、「暑くて暑くてと文句を言ってたわ。35度もあるから」とジョニが言っていた。35度じゃ、少し肌寒いハミルトンの方がまだいいな。
 電話が全くつながらないから、クロコダイルにでもやられたのかと心配したのに損をした。
 最近はすっかり課題に追われているので、今日はかなり寝坊して、起きたのが8時40分くらいだったけど、家で読書課題やら、あれこれ勉強していたら、午後に電話が鳴った。誰かと思ったら、隣のラングエッジインスティチュートに勤めているハンナだった。
 「今朝、なかなかあなたが起きてこなかったので、病気でもされたのかと思って心配で電話をしたのよ」だって。「いや、2学期の最終段階で、応用言語学やCALL、マオリ語の試験など、課題に追われていて夜遅くまで勉強していたので、ちょっと寝坊しただけです。全て、順調。全く問題ありません。昨日だって、フライフィッシングの市民講座に出かけてきたし、今日も市民講座でイギリス語の授業に行くんで、ちょっと忙しくしているだけです。でも、心配してくれてどうもありがとう」と答えて受話器を置いた。
 でも、私が少し寝坊したって、どうして気がついたのかな。とても不思議だ。
 テレビでも、お年寄りが一人で生活している風景が出てきて、急に倒れた際に緊急ボタンを押すという、緊急救護のサービスの宣伝を見るけど、互いに気を使わないようでいて、かなりニュージーランドは助け合いの精神の社会なんだろうと思った次第である。