お礼としてはどういうものがふさわしいのか (3)

 料理する側としては、「おいしいね」と言ってくれるほど、うれしいお礼はない。ニュージーランドでこれまで4回ほどパーティをやったけれど、今日のパーティが最高だろう。それはやはり、気持ちのこもったお礼のコトバである。
 最後に、ニックとハンナは、贈り物として本をくれた。
 開けてみると、ある日本人作家が書いた小説の英訳本だ。夫婦二人ともに、これを読んで感銘を受けたという。新しい本ではないけれど、受け取ってもらえると嬉しいと彼らは言った。もちろん私の名前とともに、一文が添えられていたけれど、こうした贈り物はいかにもニュージーランドらしい。日本なら新品を買うところだろう。
 何かしてもらったときの感謝をあらわすお礼として、自分で何かを作ったりしたいなと私は思い続けてきたけれど、日本では忙しくて、なかなかそんなこともできない。
 こうした点は、ニュージーランドから学ぶ点が多いと、常々私は思っている。