マーサーにあるイギリス軍の軍艦パイオニアの装甲塔

 ポケノから5キロ南下し、右折してマーサー(Mercer)に入ると、すぐにガソリンスタンドやカフェのある駐車場のついたサービスエリアのような場所がある。
 広い駐車場に車をとめて、ここからワイカト川の方に歩いていくと、数分もしないうちに、Site 4-Pioneer gun/rifle turret at Mercerの場所にたどり着く。ルース道路(Roose Road)と川沿いの名前のついていない道路に、このタレット(turret)がある。
 タレット(turret)とは、「機関銃、砲を内蔵した装甲塔」を意味する。
 この「装甲塔」とは、「軍艦、装甲車両、砦の上に備える」もので、「通常回転できる」らしい。
 マーサーに飾られているこの装甲塔は、軍艦パイオニアに装備されていたもので、砲門(gun port)がたくさんついている。ワイカト土地戦争と時期は異なるが、このマーサーの装甲塔は、現在、第一次世界大戦の碑と一緒に合体されている。
 いま私の眼の前を流れているワイカト川を、ワイカト土地戦争中に下った軍艦は、エイボン(the Avon)、パイオニア(the Pioneer)、そしてコヘロア(Koheroa)の三隻であるが、これに4隻の武装した船と、さらにもっと小さな数隻の船が加わっていた。
 軍艦パイオニアは、前後に、12ポンド砲を格納し、小さな銃用に砲門のついた装甲塔を搭載していたという。眼の前に広がる美しいワイカト川を見ながら、川に浮かぶ装甲塔を装備したイギリスの軍艦を私は想像してみたが、こうした小艦隊がワイカト川を上り下りして、ワイカトの心臓部を行き来していたら、ワイカト土地戦争において戦術的にかなり効果的であったに違いない。
 近代戦争に熟知していなかったマオリにとっては、ひとたまりもなかったろう。