さて、勉強は面白くないといけない。面白くないと長続きしないし、結局何も身につかないだろうというようなことを書いてきたわけだが、それでは、私が担当する英語教育で、面白くするにはどうしたらいいのか。
まず、英語教育といってもコトバの教育だから、「相手がいないといけない」と私は考えている。それも、「日本語じゃ話が通じない相手がいないといけない」と。
中国人のように目的意識がはっきりしていれば、日本人どうしで英語を話す訓練もできるだろうけれど*1、そこまで日本人に求めるには精神的にタフでないといけないし、練習くらいは生徒もつき合ってくれるだろうけれど、最終的にはイギリス語を母語とする連中との交流が必要だ。それで、「日常的に身近な言語環境が必要」となる。
海外旅行ができる人は海外旅行もいいのだけれど、海外旅行をすれば自然に英語がうまくなるというほど、ことは簡単でもない。そして「相手のことを知らないといけない」から、文献を読んだり、質問もできないといけない。そうして、さらに「自分のことも知らないといけない」というように、ことは弁証法的なのだが、これまで何度も繰り返し述べてきたように、地理的に孤立している日本は、言語的にも孤立している。日本国内じゃ、英語なんていらないというのが私の持論だ。だけれども、ひとたび国外に出ると、とたんに外国語が必要になる。そして、英語が国際語だなどという妄言をはなから私は信じていないけれど、インターネットが身近になった今日、ビジネスラングエッジや便利語としての位置くらいは認めてやろうというのが、今の自分の基本的立場である*2。
大学のCALL授業の最終レポートで、長年あたためてきた作文授業構想案を書いて出したのだが、詳しい紹介は後まわしにするとして、簡単に言うならば、高校三年生くらいにブロガー(blogger)になってもらって、デジタルカメラの写真つきで毎日英語で二、三行日記を書かせるというアイデアだ。そして、電子メールやブログを使って海外との交流をすすめるというものである。そのアイデアの先には、可能ならば、現地訪問をして、実際に会って交流をするという展開を想定している。
今の時代は、この「はてな」のように、無料のブログサイトが結構ある。こうしたサイトならどこでもいいのだが、今生徒に使わせようと私が考えているのは、Fotologである。
http://www.fotolog.net/
このフォトログのサイトを使って、毎日写真をアップさせ、二、三行の英文を書かせることを通して、生徒を、ブロガー(blogger), 書き手(writer), 調査者(researcher), そして「考える人」(thinker)に仕立て上げようというのが、今私がもっているアイデアだ。
もちろん生徒が相手だから、この私のアイデアを果たして面白がるかどうか、それは予想もつかないから、実際にやってみないと結果は判断できない。だけれども、これは選択授業だから、生徒の希望がないと成立しない。だけれども、もし成立したら、結構うまく行くのではないかと踏んでいる。
私は、自分でやってみたことでないと、教育的には説得力をもちえないと常に考えていて、自分ができないことを、監督者然として生徒にやれと言えるほど、私の面の皮は厚くできてはいない。それで、この間、自分でこのブログなるものを経験してみているのだが、これは案外いけるのではないかと感じているところなのである。
インターネットとのつき合いは、1990年にPC-VANに初めて加入し電子メールを始めて以来だから、かれこれ14年にもなるのに、私がブログでホームページを開始したのはほんの少し前、この7月からだ*3。
つまり、これも生徒にやらせるための予備調査や実験のひとつに他ならないのである。