テナーコウトウ、テナーコウトウ、テナーコウトウ、カトワ

 午後1時になり、オープニングセレモニーが始まった。
 最初のパフォーマンスは大変勇壮なもので、ほら貝の音から、マオリの兵士が飛び跳ねるように、フィールドに繰り出し、あちこちと様子を偵察しているような踊りが展開された。その後には、歌と身体を揺らす程度の軽い踊りを踊る高校生も混じる大集団がいて、その反対側に向かい合うように、普通の服装で静かに歩いてくる大集団がいる。この普通の服装でゆっくりと歩いている大集団が、もう一つの大集団へと割り込んでいくのだが、その意味するところが何なのかよくわからなかった。けれども、これはなかなか見ごたえのあるパフォーマンス*1である。
 マオリは、儀式的なスピーチは男性が主である。実際昨日も男性しか挨拶はしなかった。挨拶の後、歌やパフォーマンスがある。
 これはアオテアロアというよりは、ハワイのフラだと思うが、赤い衣装もきれいだったが、踊りもとてもきれいだった。いわば、アオテアロア以外の国際的なお客様ということになるのだろう。
 一般に、マオリの挨拶は長い。私は、マオリの挨拶は、歌舞伎などの見栄を切る感じに似ているのではないかと勝手に思っている。たぶん、自分のことを述べ、相手のことを述べるから、長くなるに違いない。
 挨拶の終わりを締めくくるコトバは、私もワイカト大学(The University of Waikato)で学んだ、テナーコウトウ、テナーコウトウ、テナーコウトウ、カトワである。
 こうして3時30分頃にオープニングセレモニーは終わった。
 最後の挨拶は、私がワカ・アマチャンピオンシップで、ワイカト大学(The University of Waikato)のマオリ学部のトップに紹介されたマオリ省のトップの挨拶であった。
 全部で2時間30分ほどであったが、私の横にいたマオリの男性は、「今年は結構早かったな」と言って笑っていた。
 これですべての挨拶が終わり、主催者に対して、訪問者が、フォークダンスのような大きな円になって、一人一人ホンギの挨拶でまわる。
 今回の儀式では、挨拶では、英語の挨拶は一切なし。まさにアオテアロアというにふさわしい祭典であった。

*1:パカハカなどのステージでのパフォーマンスは別だが、ハカをはじめ、マオリの文化儀式に対しては、拍手でこたえることは少ない。それは、いわゆるパフォーマンス、見世物ではないからだと思う。どちらかといえば、自己表現的儀式ということになるのだろう。