三世代におけるマオリ語の位置

 簡単にいえば、こういうことだ。
 祖父母の世代は、マオリ語が中心。父母の世代は英語が中心。現在の世代の子どもたちは、マオリ語を奪い返している渦中にあるのである。
 こうして、マオリ語の歴史を学ぶことはコトバの教師としてやはり重要な教訓がある。
 民族語を失わせるのは実に簡単なことなのだ。
 弾圧と晦渋による、まさに飴と鞭で、三世代も経ぬうちに、ひとつの民族語が失われてしまうだろう。
 その際に重要なものが学校教育である。学校で一つの民族語が弾圧されたら、ひとたまりもない。
 社会的な重圧が加われば、親が自分の言語の将来を悲観して、子どもに自らのコトバを託すことを放棄してしまうのだ。
 早期英語教育とか、英語・英語と騒ぐばかりで、自らのにほんごを大事にしないわが祖国を私は思い出して、ため息を出さざるをえなかった。