マオリの芸術科の教師からいろいろと基本を教えてもらう

 教員室に戻ると、芸術科の女性教師が空き時間のようで、いろいろと質問をしてみた。
 まず、「ハカをおこなう際に何故手を震わせるのか」と、聞いてみた。
 手を震わせる動きをマオリ語でウィリウィリ(wiriwiri)というらしいが、このウィリウィリは、人間のエネルギーが熱波(heat waves)や波(waves)のように放射していることを表現しているという。
 またポイダンスは、女性の踊りとばかり思っていたが、実は武道から来ていて、技術向上の練習のためにおこなったという。それを女性が取って、今や女性らしいポイダンスに仕立てたらしい。
 この芸術科の先生に言わせると、マオリ文化においては、ワカの伝統が重要で、カービング(彫り物)なども、ワカから来た直線的な線の美しさと、すでにアオテアロアに存在していた曲線美とが合体したものだという。
 コイリ(Koiri)というツルが二つ出たような紋様は、「過去」と「未来」をあらわし、コル(Koru)というツルが一つの紋様は、「新しい成長」を意味するようだ。
 どうやらマオリ文化においては、「過去」と「未来」という概念が重要で、「過去」「現在」「未来」という概念とはズレるらしい。
 彼女は、マオリ語をまだ流暢に操ることができないので、本格的にモコを入れることは控えているといって足の甲のモコを見せてくれた。
 私はモコに関しては、現在の日本の文化とマオリの文化は、かなり考え方が違うことを説明せざるをえなかった。
 マオリの文化では、大地との接触が重要だというような彼女の話を聞いて、マオリ文化について私が不勉強であることを痛感させられた。