アールデコの街、ネイピアのウォーキングツアー

アールデコの建物が多いネイピア

 これもすでに昨日のことだが、ネイピアに来た最後の理由、ウォーキングツアーに参加した。
アールデコの街、ネイピアのウォーキングツアーは楽しい。1時間ほどのツアーで大地震*1によるネイピアの町の変化とアールデコの基本がわかる。
 ツアーの最後には、20分ほどの復習ビデオを見ることができ、コーヒー、紅茶、水が飲めて、これで料金は8ドルだ。
 ガイドは全てボランティアらしいが、私のグループの担当者は慎ましやかだけれど、ところどころ楽しい話を入れることのできる上品なキーウィ女性だった。
日本と同じく火山国であり、地震国であるのに、ネイピアの大地震が起きるまではニュージーランドは、地震対策を軽視していたようだ*2
この大地震によって、ネイピアの町の地形がすっかり変わってしまったという。
ニュージーランドの地形だが、北島は、地上の火山によって作られ、南島は、プレート活動によって作られたと言われている。
ネイピアの地震もプレート活動によって引き起こされたと言われているが、この地震によって街は2メートル盛り上がり、海岸は広がり、湾だったところが埋め立てのように広大な地面が形成されたという。現在のネイピア空港は、その新しくできた元の湾にあるという。
これほどの大地震だったから、地震が起きてから二年間で再建したネイピアの街は、どのような街にしたらよいか街づくりを開始する前によく検討したらしい。
すぐ建て始めるのではなく、現在の公園のあたりに仮設住宅を建てて住民たちは住んでいたようだ。
そして、まず家の材質だが、瓦礫の山となってしまった赤レンガ造りをやめて、コンクリートにする。なるべく低層の2階建てくらいの建物にする。建物の四隅にカットを入れる。これは、あたかもジャガイモが煮崩れしないように面取りをするようなものだと私は理解した。
ライフラインである電線の類は地面に埋めてしまって、景観もよくする。
建物の装飾はもちろんアールデコだが、現在ABSになっている銀行の模様はマオリの模様も入っている。ご承知のように、アールデコは、エジプトなどのエスニックなものも取り入れているから、マオリの模様を取り入れるのは、まさにニュージーランドアールデコらしい。
ネイピアの店という店を見ると、まず下に黒白のタイルを敷き詰めてあったりして、どの店の入口もアールデコ調になっているのがわかる。
銀行などは建物を建て直すことは経済的にそれほど大変でもなかったようだが、地震後は世界大恐慌の時代だから、各店舗や各家屋の再建は大変だったらしい。それでも、2年間で街を再建したというのだから、たいしたものだ。

*1:ネイピアの大地震は、1931年2月3日、火曜日、10時46分に発生したと博物館の展示にある。

*2:展示の中に、ニュージーランドのある政治家による地震を軽視したコメントが紹介されていた。もちろんこれはネイピアの大地震が起こる前のコメントだが、地震津波は、もちろん自然災害であり、自然災害は避けることはむずかしいが、自然災害の被害を大きくしている理由は常に政治の不在であり、その点に限って言えば人災的側面が強いと言わざるをえない。