ギズボーンの博物館

 これも昨日のことだが、ギズボーンの博物館を訪れようとした際に、大きなカメラを持って橋を渡って来る黒人にたまたま出会った。挨拶を交わすと、ギズボーンに住んでいる友人に前から何度も誘われていて、わざわざイギリスから会いに来たという。
彼は博物館へは昨日訪問したと言って親切に案内してくれた。おまけに博物館の前で一緒に写真を撮ろうという。これは日本人のノリだ。メールのアドレスまで交換して私たちは別れた。
 キャプテンクックのエンデバー号のジオラマや「鯨乗り」(whalerider)の伝説などとともにギズボーンの博物館のマオリ展示で面白かったのは、マオリの第28部隊の展示である。
このマオリの部隊で、大戦で戦死、または負傷した率はきわめて高い。世界大戦へのマオリの貢献は、白人社会でマオリも認められるという意味合いがある。世界大戦はマオリにとって全く関係のない戦争、マオリにとって大事な戦争は、まさにニュージーランド戦争であったにもかかわらず、である。
これも何度も書いているが、これは日系アメリカ人の日米大戦での勇敢な闘いぶりや、ベトナム戦争で真の勇気を示し兵役を拒否したモハマド=アリの発言を思い出させる。戦死したマオリポートレートが壁に大量に貼られているその横に、大戦中兵役についている際にはマオリは平等であったが、その後の社会ではどうなのだろうかと、博物館の説明文が問いかけていた。ギズボーンの博物館は、マオリ的視点が組み込まれた博物館であるという印象を持った。
ところで、ギズボーンの博物館のマオリの司書と話をしたのだが、彼女はワイカト大学(The University of Waikato)のマオリ学部のトップの姪っ子であった。
 世界は狭いのである。
 彼女の薦める東海岸の小冊子を博物館で私は買った。