朝一番に大物をしとめる

渓流でしとめた鱒と私の帽子

 昨日の朝は早起きをした。
 6時ごろ、フィッシングロッジで一人で起きたのだが、釣り宿の女主人は車で出かけた。彼女の娘さんも出かけるということで、今日は釣り宿の客である私がロッジの鍵を閉めて帰ることになっている。
 今の季節、6時では、まだ暗い。
 7時ごろから、一人で釣りに出かけることにした。
 釣り宿のすぐ下に渓流がある。釣り宿から歩いて5分くらいの近くで、一番最初にワークショップを受けた場所でまずキャスティングを試してみた。一番目のフライは軽い金属系のフライで重りとし、二番目のフライは、卵系にした。卵系は栄養価が高く腹を空かした大物が好きだというニコラスの教えにしたがった*1。インディケーターは大きめのではなく、小さめのものがついている。これもニコラスの教えだ。ここでは魚影は感じながら、釣ることはできなかった。
 場所を変えて、その場を引き上げ、今度は釣り宿の裏手にまわって、渓流まで下る。ここへは金網のドアを二度ほど開けては閉めて行かないといけない。
 ここで、何度かキャスティングをするうちに、あっけなくヒットした。
 数分のファイティングののち、ネットがないので、川辺に引き寄せ、そのまま川辺に上陸させた。
 タラウェラ湖で私が釣ったレインボーは全体が銀色で、かすかに緑色をした美しい鱒だったが、渓流の鱒は、全体に色がダークで、全体が銀色をした鱒が主流でないことをニコラスから聞いて学んでいた。私がいま渓流で釣った奴は赤みを帯びているが美しい鱒だ。
 鱒をキープする場合、鱒の頭を棍棒で叩いてしめる。近くにある棒で頭を叩いたが、その棒が軽いのと元気のいいせいで、なかなか死ななかった。この鱒は何か私に伝えたかったのかもしれない。
 2パウンドくらいの重さだろうか、私の肩幅くらいある鱒だが、ここら辺では中型だけれども、私にとっては大物だ。
 ニコラスの話では、下あごがそりあがっている鱒がオスで、そりあがっていない奴がメスだと聞いていた。おそらく、こいつはオスだろう。
 鱒の口の中はかなり堅い。ヒットした際に、針が口の中にささらないと逃げられてしまう。これもニコラスから学んだ。
 今回は、自分で仕掛けをつくり、すべて自分ひとりで獲物をしとめたのだが、川辺の砂にまみれた大物を見ていると、タラウェラ湖で釣り上げたときのような大きな喜びはなかった。

*1:5匹釣ったニコラスの鱒をさばいている際に、釣り宿の娘さんに鱒の胃の中を見るように言われた。鱒の胃を切ってみると、ニコラスが魚に取られた卵系のフライが出てきた。胃の中を見ることで、鱒が何を欲しがって食べているのか、重要な手がかりが得られる。