安易な小学校早期英語教育論に欠けていること

amamu2006-04-25

 4月24日の朝日新聞に、小学生からの英語教育必修化論に対して、賛成派と反対派の意見が載っていた。反対派の代表は、元同時通訳者で現在立教大学教授の鳥飼玖美子氏だった。
鳥飼玖美子さんが強調していたことのひとつは、小学校の段階では母語を重視すべきだということだ。これは当然の意見である。
 同じことだが、これを受けて、私なりに再度強調したいことは、外国語を学ぶ際の基本姿勢は、なんといっても母語を重視した上で、自主的な外国語学習を充実させるということだ。言うまでもなく、外国語学習は、母語を重視するということが、その大前提にあるということを強調したいのだ。
 賛成派の意見は、現行の英語教育では10年間やっても英語が身につかない。だから早期英語教育が必要だ。小学校での必修化が必要だという論のように読めた。
 しかし、これはあまりにも安直な意見ではないか。
 というのも、今の英語教育の目的論と、現状の英語教育の問題点、その分析とその克服方法を論ぜずに、低年齢化をすれば解決するということにはならないからだ。仮に現状の英語教育が最善のものであり、かなりのレベルに達しているということを前提にして、それでは量的に足りないから、低年齢化が必要だとするなら、まだ私は理解できる。
 しかし、この賛成派論者が主張するように、現行の英語教育に問題があるのであれば、そうした問題ある英語教育を小学校まで引き下げても、同じ問題が拡散するだけだ。そもそも小学校の先生は英語を教える訓練を受けていないのだから、なおさら問題は深刻だ。
 鳥飼玖美子さんも、別のところで、「今の中学からの授業をそのまま早めるだけなら無駄」と言っている。
http://www02.so-net.ne.jp/~a-mizuno/kao.html
 私なりに言わせてもらえれば、小学校の英語教育よりもむしろ、今ある中学校・高校・大学の英語教育を充実させることがまず優先的課題ではないのか。
 事実、現状の英語教育でやらなければならないことは山ほどある。
 あちこちですでに指摘だってされている。