ポール・サイモンの新譜「サプライズ」(2006年)を聞いた

「サプライズ」

 ポール=サイモン(Paul Simon)の新譜「サプライズ」(Surprise)が我が家に届いたので、早速、iPodに入れて聞いている。
ブライアン=イーノ(Brian Eno)とのコラボレーションということで、音としては、ポール=サイモンの音にブライアン=イーノの音が加わり、極めてモダンで洗練されたものになっている。演奏で特筆すべきはドラムスだろう。全体を通じてドラムス*1の鮮度は極上である。ブライアン=イーノがこれまで関わったRemain in Light (Dig)など、トーキングヘッズ(Talking Heads)やデビッド=バーン(David Byrne)のものやU2Joshue Treeも私は好きなので、今回の「サプライズ」(Surprise)も音としては好きな音だ。
 人間の肉声も楽器であり、いろいろなヴォーカリストの歌声は、もちろん好み次第なのだが、ポール=サイモンの歌声もすぐそれとわかる特徴がある。
 ポール=サイモンには、ゆっくり歌っても早く歌っても、野蛮にシャウトしたりせず、淡々と歌う印象があり、コトバの発音は末尾まで丁寧だ。ポール=サイモンは、ライブパフォーマーというより、理知的な歌詞づくりと音作りの職人である。
 そして、新譜「サプライズ」(Surprise)は、ポール=サイモンなりの20世紀の総括を踏まえた混沌とした現代に対する認識表現なのだと思う。

*1:ドラムスは、主にSteve Gaddが担当している。Steve Gaddは、スタジオミュージシャン。Steve Gaddのサイトは、http://www.drstevegadd.com/paulsimontour2006.htmlEric ClaptonReptileのドラムスも彼の仕事である。