一方、「サプライズ」(Surprise)の最後を飾るFather and Daughterは、明るく楽しい曲だ。アルバム全体を通じて、ようやく少し明るい曲想の登場と言ってもいいかもしれない。
ドラムスがやたらと元気がいい。ベース音もはじけている。
質問が多く、解答が見つけにくい「サプライズ」(Surprise)というアルバムの中で、これは比較的わかりやすい唄だ。
I’m gonna watch you shine
Gonna watch you grow
Gonna paint a sign so you’ll always know
As long as one and one is two
君が輝くのを見届けるからね
君が成長するのを見届けるからね
目印を描くからね、君が常にわかるように
1足す1が2であり続ける限り
There could never be a father who loved his daughter more than I love you
私以上に娘を愛した父親はいないのだから
Trust your intuition
It's just like goin' fishin'
You cast your line and hope you get a bite
But you don't need to waste your time worrying about the marketplace,
try to help the human race
自分の直感を信じなさい
それはちょうど魚釣りに行くようなもの
ラインをキャストして、あたりがあるのを待とう
でも市場を心配して、時間を無駄にする必要はない
人類を助けるように努めなさい
ポール=サイモンの唄は韻を踏んでいるから、響きがいい。
単純だけれど、これはいいポップスだ。
この曲だけ、ブライアン=イーノとのコラボレーションではないらしい*1が、心温まる唄であり、この唄は娘をもつ全ての父親に捧げられていると言ってよいだろう。
そして、この曲を聴くと、また「サプライズ」(Surprise)のはじめの曲から聴きたくなる。
そして、Paul SimonやThere Goes Rhymin' Simon、Still Crazy After All These Yearsなどのポール=サイモンの古いアルバムを聞きたくなる。
「サプライズ」(Surprise)は、私にとってそういうアルバムである。
*1:私は未見だが、2002年のアニメ映画"The Wild Thornberry Movie"の主題歌。