日本料理は日本で食べないといけません

Lonely Planet Japan

 Japan (Lonely Planet Travel Guides)のDining Out In Japanという欄には次のようにある。




 Those familiar with nihon ryori (Japanese cuisine) know that eating is half the fun of traveling in Japan. Even if you’ve already tried some of Japan’s better-known specialities in Japanese restaurants in your own country, you’re likely to be surprised by how delicious the original is when served on its home turf. (Japan (Lonely Planet Travel Guides), p.113)

 「食べることが日本の旅の楽しみの半分を占めることを、日本料理に親しんでいる方々は知っています。よく知られている日本の得意料理のいくつかを自国の日本食レストランですでに試しているとしても、ホームグラウンドで日本料理が眼の前に出された際に、それがいかにおいしいかを知って、さぞ驚かれることでしょう。」

 ニュージーランドで、私が手巻き寿司パーティーをやった際に説明として必ず言っていたことは、寿司は、ファーストフードから芸術的な食べ物に洗練されたもので、そうした洗練されたものを家庭で食べることはできない。専門家のつくったものを寿司屋で食べないといけないということだ。
 この辺に大きな誤解があって、世界的なsushiブームから、今やアメリカ合州国ではもちろんのこと、ニュージーランドでも、スーパーマーケットでMaki Zushiなどが売られている。今や日本でもスーパーで簡単なスシは売られているが、本当にうまい寿司を食べようと思ったら、寿司屋に行かないといけない。こんな当たり前のことは私が強調するまでもない。この点では、日本の寿司屋さんで食べる極上のものを寿司とすれば、海外のスーパーで売っているものは、sushiとかスシと表記すべきじゃないかくらいに私は思っている。
 オーストラリアをたまたま旅行していた日本人の若者をオーストラリア人が自宅に呼んで、寿司など全く作ったことのないその若者に、日本人なら寿司を作ってみろということで、素人に作らせ、sushiなるものを初めて食べた主人は、「(日本人は寿司が好きなのだろうから)あとはお前が食え」と言われた話を、どこかで聞いたことがある。
 このオーストラリア人は田舎に住んでいた人だから、寿司など全く眼にしたことがなかったのだろう。これなど大いなる偏見を植えつけてしまった極端な例だろうが、こうした話はありそうだ。
 キムチにしても、パンにしても、寿司にしても、本場に行って、地元の人の話を聞かない*1と本当にうまいものは食えない。誤解したままの人生を過ごすことになるので要注意だ。
 こうしたことを指摘してくれるロンリープラネットはやはりいい。

*1:「本場」「元祖」「名物」をさらに吟味する必要があることは言うまでもない。現地では、よく知っている人に聞かないといけない。