木下恵介監督の「笛吹川」(1960年)を観た

笛吹川

 これは、時代劇の合戦を扱った徹底した反戦映画である。
 高峰秀子主演。
 「笛吹川 [DVD]」には、大衆が時代劇に求めるような大活劇はない。
 それどころか、ストイックに、戦のばかばかしさが描写されるばかりだ。
 とりわけ、高峰秀子が演じる足の不自由な母親が、敗退しながらも親方に忠義を尽くす子どもたちの進軍についていきながら、戦の隊列から離れるように説得する場面は、素晴らしい。まさに木下恵介監督の表現になっている。
 最後の方で、山門の炎上場面の迫力はすさまじいの一言に尽きる。
 1960年の作品。