沖縄の歴史と瀬長亀次郎の生き方

 8月1日放送のNHK番組「その時歴史が動いた」を観た。
 今回の番組は、「忘れられた島の闘い 〜沖縄返還への軌跡〜」という題名で、「その時」とは、1972年5月15日の沖縄復帰の日のことを指すのだが、平和と人権を求めて闘った瀬長亀次郎の話であった。
 1945年、日本の侵略戦争が終わりを迎えても、地上戦がおこなわれた沖縄では、悲劇は続いていた。それはアメリカ軍による統治が終わらなかったからだ。まさに東西冷戦下で犠牲を強いられた歴史である。農民にとって生命線である先祖代々の農地を奪われ、沖縄に広大な基地をつくられる基本政策となった許しがたい土地収用。大国の政治によって、本土から引き裂かれた沖縄は、私に北アイルランドの歴史を思い起こさせた。
 異民族が支配し困窮にあえぐ沖縄で、瀬長亀次郎という政治家は、まさに民衆・大衆の要求を背負って闘った政治家であり、真の意味で勇気ある民族の英雄だ。

 この沖縄の大地は、再び戦場となることを拒否する。基地となることを拒否する。あの紺碧の空、サンゴ礁に取り囲まれて、あの美しい海。沖縄県民の手に返って初めて平和な島が、沖縄県の回復ができるんだということを二十六年間叫び、要求し続けてきた。(1971年12月4日、衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会での瀬長氏の発言)

 今日なお沖縄に犠牲を強いているアメリカ合州国と日本政府。そして、結果として、そうした体制を許している日本国民は、一人残らず、沖縄の歴史を学ばなければいけない。