東京福祉大学の総長がわいせつ容疑で逮捕された。
容疑者であるから、確実なことは言えないが、この報道が正しいとすれば、ひどい話だ。
大学の総長ともあろうものが、セクシャルハラスメント、パワーハラスメントの犯罪を犯しているとすれば、大学の権威も地に落ちたものだ。
今の日本は何でもあり、政治家も大学の総長も、その退廃ぶりはひどい。
そもそも、教授であれば、女子学生を一人で個室に呼び出すことはしない。セクシャルハラスメントで訴えられても、二人しかいなければ、無実の証明のしようがないからだ。女子学生だって、誘惑して成績の免除を要求するような。ひどいのがいないとも限らないから、疑われるようなことはしないのが、知識人の知恵というものである。
二人で個室で会わないのは、常識的ルールだろう。ちょっとの時間の面談だって、密室状態にしないために、ドアを開けて、面談するなどの配慮も常識だ。
アオテアロア・ニュージーランドで、ホームステイの家族から、私が一人で車に乗っているときはヒッチハイカーを乗せて二人だけになってはいけないと注意されたことがあるが、これも、密室で二人となれば、相手にどんなひどいことを後に言われるかわからない。第三者がいれば、まだ証明のしようがあるという話だった。
さて、大学の総長であっても、品性下劣な奴は、どこの世界にもいるものだ。もちろん、そのこと自体が問題であることは言うまでもない。ただ、それを、薄々感づいていながら、結局放置して許してしまっているという大学の構成員の力不足という問題性も指摘しないわけにはいかない。
東京福祉大の総長も「ワンマン」だったというから、「あの立派な総長が」と驚きをもって、この事件を迎え入れたわけでもなさそうだ。
学問の府で、構成員がしっかりしなければ、大学の生き残りにとっても死活問題になるだろう。
事実、事件発後25日までに、「推薦合格者3人が入学を辞退、9人の志願者が受験を辞退した」という。「内部告発」という少し刺激的なコトバがあるけれど、組織として告発しなければ、この厳しい時代に自分で自分の首を絞めることになる。告発してこそ、生き残ることが可能となる。組織人として、見逃してよい問題ではありえない。
以下は、1月28日の朝日新聞から。
東京福祉大(東京都豊島区)総長の中島恒雄容疑者(60)が強制わいせつ容疑で逮捕された事件で、中島容疑者が被害者の元同大教員の女性(41)に「正社員にしてやる」と持ちかけたうえでわいせつ行為に及んでいたことが警視庁の調べでわかった。中島容疑者を職員らは「ワンマン」と評する。同庁は絶対的な権力を背景に同様の行為を繰り返していた疑いがあるとみて調べている。
捜査1課などの調べでは、中島容疑者は昨年2月、当時派遣社員の立場だった女性を「勤務の内容のことで話がある」と総長室に呼び出し、無理やりキスをしたり胸をさわるなどした疑い。中島容疑者は容疑を否認、「キスはあいさつ代わり」「胸に手があたっただけ」と主張しているという。警視庁にはほかに元社員の女性3、4人から被害相談が寄せられている。
「総長室でセクハラ行為をしているのでは、とのうわさが広まっていた」と同庁に話す職員もいるという。総長室には総長専用のベッドルームやシャワーが備えられていたという。