グリーンスパン前議長、過ちを認める

 アメリカ合州国サブプライムローンを端に発した今回の市場の深刻な危機があの1929年以来の大恐慌再来と言われているが、いわゆる金融工学に対する批判がなされ、グリーンスパン前議長は、過ちを認めた。
 日本で、「規制緩和」をすすめ、「格差社会」という差別社会をつくるのに手を貸した政府・与党、経済界の重鎮や政治家たちに対する批判、そして、そうした政策に修正を加えず、無批判的に追随した一部野党は、猛省すべきだ。
 そして、二度とだまされてはいけないという意味で、国民ももっと賢くなって、「規制緩和」や「格差社会」について猛省しながら、どういう社会であって欲しいのか、もっと理想を追求し語らなければならない。

FRB>金融政策で過ち犯した…グリーンスパン前議長
10月24日10時29分配信 毎日新聞

 【ワシントン斉藤信宏】グリーンスパン米連邦準備制度理事会FRB)議長は23日、下院公聴会で行われた議会証言の質疑応答で、金融機関への規制・監督について「過ちを犯した」と述べて、自らの在任期間中の政策運営について誤りがあったことを初めて認めた。グリーンスパン前議長はこれまで「低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題を予見することはできず、当時の政策に誤りはなかった」と繰り返し述べていた。

 グリーンスパン前議長は、06年1月まで18年余の議長在任中は「マエストロ(巨匠)」と呼ばれ、政策手腕を高く評価されてきたが、サブプライム問題に伴う市場の混乱長期化で、当時の低金利政策や規制の甘さに対する批判が強まっていた。

 下院政府改革委員会のワックスマン委員長(民主党)が「FRBサブプライム絡みの融資過熱を止める権限を持ちながら行使しなかったのではないか」と問いただしたのに対し、グリーンスパン前議長は「金融機関に自社の利益を追求させることが、結果的に株主保護につながると考えていた。今振り返れば過ちだった」と述べた。

 また、デリバティブ金融派生商品)の一種「クレジット・デフォルト・スワップ」(CDS)の取引を規制しなかったことについても「一部、間違いがあった」と認めた。

 CDSは、企業向け融資や証券化商品が焦げ付いた際に損失を肩代わりする商品。今年6月末時点の取引残高が世界で54兆6000億ドル(約5300兆円)にのぼっており、米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)以降の金融市場混乱の一因と見られている。