初めて有次の包丁を買った

 今日、生まれて初めて京都の有次の包丁を買った。有次の包丁にしたのは、学生時代からの親友からの薦めなのだが、私自身は、「有次(ありつぐ)」を、「ゆうじ」と読んだほどの、ど素人で、自前で包丁を買うのも初めてである。
 とりあえず、出刃包丁と、柳刃包丁の2本を入手した。ついでにうろこ取りも、家にあるものと取り換えるために新たに入手した。
 さっそく鯛の刺身を有次の柳刃包丁で切ってみたが、もの凄い切れ味である。
 これは指を切らないようにしないといけない取り扱い注意の包丁である。
 その柳刃包丁で切った鯛の刺身のうまいこと。
 よく言われるように、刺身は、生だからといって、料理をしてないわけではない。言うまでもなく、刺身やおつくりは、日本の伝統にもとづいた、きちんとした料理である。
 それから、魚は、おろした直後に食べる方がうまいに決まっている。私自身、魚をおろすのが面倒くさいから、パックの刺身を買ってくることが多かったが、頭や皮や中骨がついている魚が、いわば、新鮮さを保ってもらっているのであって、その意味では、自分でおろして、骨や皮をはずして、おろした段階で食べる方がうまいに決まっている。魚はおろした途端に鮮度が落ちるからである*1
 包丁の切れ味がいいと、なぜ刺身がうまくなるかといえば、旨みが壊れないからなのだろう。
 魚屋で、おろした魚の柵を買ってきて、家庭で柳刃包丁で切るたけでも、味は格段に違う。
 考えてみると、アオテアロアニュージーランドに滞在していたときに、テラパのうまい魚屋で何度も魚を買ってきて刺身をつくったこともあるが、魚の「柵」を買ってきて、おつくりをつくるというのでは本格的とは言えない。テラパの魚やで、うまそうな伊勢海老が生簀にあったのに、恐れをなして結局買わなかったのは、私の魚に対する教養の度合いの問題があったと言えるだろう。
 ところで、有次の包丁は、ステンレスじゃないから、メンテナンスが重要とは聞いていたが、買ってきたばかりの包丁を、短時間水ふきをしなかったら、すぐ錆び始めてきたのには心底驚いた。
 ステンレスでない包丁の扱いは丁寧にしないといけない。
 買ってきたその出刃包丁で、アジをおろしてみた。
 こちらも切れ味がいい。三枚におろして、柳刃包丁で切り身にして、たたいてみると、こちらもうまい。
 ということで俄然魚の扱いが楽しくなってきた。
 日本橋日山(ひやま)の黒豚で、少しだけしゃぶしゃぶ用もいただいた。日山は牛肉ばかりでなく、しゃぶしゃぶ用の黒豚もおいしい。
 今日も、白ワイン。ジュラ地方の、Cotes du Jura Chardonnay -en Barberon-2006をおごった。フランスワインの中では、果実のアロマが強く、それでいて上質な上品さもそこなっていないところが、フランスワインらしい1本。
 

*1:鯵などは、おろそうとして水洗いしただけで、鮮度が落ちている感覚がある。