初めて小津安二郎の「麦秋」(1951年)を観た。
小津映画は、場所(空間)の切り取り方が明確である。
「麦秋」では、鎌倉の海、北鎌倉駅、大仏、江ノ島、鎌倉の家、東京のオフィスビル街、料亭と、場面場面の空間がきっちりと描かれていて、観客側として安心して見ることができる。家の間取りもフレームワーク化されていて、空間の切り取り方で視点がぶれない。
また、子どもの登場のさせ方だが、「東京物語」でもそうだったが、聞き分けのけっしてよくない子どもたちが登場する。昔の子どもたちはあんな風だった。叱られて「家出」をすることもめずらしくもなかった。
笠智衆、原節子、東山千栄子、杉村春子らが好演している。