アメリカ独立記念日にあらためて「コモン・センス」を読んでみた

コモン・センス

 1776年に出版された「コモン・センス」というパンフレットは、3ヶ月で12万部、総計50万部が売れたといわれている。当時のアメリカ人の人口からして、字の読める人間のほとんど全員が読んだといわれるほどのベストセラーであった。
 思想というものが時代精神の精髄だとするならば、「コモン・センス」はまさにその題名どおり、「共通」の「意識」であり「感覚」であり、まさに当時の時代精神をくみ上げたものとして書かれ、そうであるからこそ「共感」をもって読まれたのであろう。また、その思想のとおり、実践されたのであろう。
 1776年2月14日に、「コモン・センス」の著者が次のように書いたのも、「コモン・センス」という思索がまさに「世界」の「哲学化」であり、アメリカ独立革命が「哲学」の「世界化」であったからに違いない。

 このパンフレットの著者がだれであるかは、読者には知る必要が全くない。注目すべきは主張そのものであって、筆者ではないからだ。だが筆者がどんな党派とも関係がないこと、また理性や主義以外には公私を問わず、どんな勢力にも支配されていないということを言っておくのは、あながち不必要ではないだろう。

 この「コモン・センス」が、その数か月後に書かれることになる「アメリカ独立宣言」に多大なる影響を与えたといわれているのも当然である。

 「コモン・センス」が問題にしているのは、一言でいえばアメリカの独立であり、「君主制」か「共和制」かという大問題だが、王政とその世襲制についてトーマス・ペインは徹底的に批判している。また、地勢(政)的な情勢を含めて当時の情勢を語っている。
 あらためて読み深めたい古典の一冊である。