「政権のNHK支配」が国民にもたらすもの

 今朝の朝日新聞に、メディア研究者の松田浩氏の意見が文化欄に載っていた。
 タイトルは、「政権のNHK支配監視を 露骨な人事 情報統制の発想」というもの。
 松田氏によれば、「NHKの歴史は、政府・与党による介入の歴史でもある」という。
 「さきの経営委員人事で、安倍首相が新任の4委員を自らに極めて近い、“安倍一族”で固めたため」「公共放送NHKが、安倍政権の“政治的人事”で、危機に立たされている」との認識を紹介している。


 松田氏は、次のように述べている。

 

半世紀以上、NHKと政府との関係をウォッチしてきたが、このような露骨きわまる人事はみたことがない。これは単なる「お友達人事」の域を超えている。安倍政権による“NHK乗っ取り人事”とでも名づけるべきではないだろうか。


 松田氏は、次のように続ける。

 12人の委員でなる経営委員会はNHKの最高意思決定機関で、会長の任命権限をもつ。その経営委に、憲法改正歴史認識などで首相と政治信条を共有する委員たちが送り込まれた。


 全部を紹介できないが、松田氏は、次のように文章を結んでいる。

 ただでさえ、日頃から政権寄りの報道が目につくNHKである。「みなさまの公共放送」が戦前と同じ「国家の公共放送」に変貌することがないおう、視聴者・国民による厳しい監視の目が必要だろう。


 松田氏は、「時あたかも特定秘密保護法案が衆院で強硬採決された。共通して底流にあるのは、国民に与える情報をコントロールしようという安倍政権の発想である」と述べているが、あの衆院委での強行採決の直前に安倍首相は退席し、NHK国会中継も打ち切られた。その後に、衆院委で強硬採決された。その日の衆院本会議での様子も放映されることはなかった*1


11月26日の毎日新聞は次のように強硬採決について報道していた。

与党側は、この日の特別委の審議が全国にテレビ中継されていることを考慮。「首相がいる場で採決を強行する姿を国民に見せてはまずい」(自民党関係者)とみて、質疑を終えて首相が退席した後のタイミングで採決に踏み切った。民主党などは額賀福志郎特別委員長の席に詰め寄って抗議したが、額賀氏は審議を打ち切り、起立による採決を強行した。

 国民が主人公であり、国民が平和に安全に暮らせるよう、国民のために奉仕すべき政治家や放送が、今でも、執行側に、権力側に都合のよいようにコントロールしているのに、特定秘密保護法案が通ったら、どうなってしまうのだろうか。
 情報公開のされない、秘密国家、暗黒国家になってしまうのは間違いないところではないのか。

*1:テレビをずっと見ているわけでも、監視をしているわけでもないので、衆院本会議での中継がなかったという点ではあまり自信がない。けれども、いわゆる定時のニュースではなく、国会中継としては、当日本会議国会中継はされていなかったように思う。もし間違いがあれば、すぐにでも訂正する。