『「日本国憲法」を読み直す』を読んだ

「日本国憲法」を読み直す



 本書は、1994年に出版され、1997年に出版された講談社文庫を底本にしているが、その論旨は全く古くなっていないと思う。

 いろいろと学ぶことが多かったが、たとえば、日米開戦直後、当時アメリカに滞在していて戦争開始に困惑していた大勢の日本人を中立国スウェーデンが助けた話。スペインも強制収容所に入れられた日系人の待遇改善のために努力した話がでてきくる。つまり、戦争中であっても、敵でも味方でもない、中立的立場を命がけで演じた国について高く評価している。


 日本国憲法を生きる、という意味ではそんな選択だってあり得るんではないかという気がします。社会がどう変わろうとも、人間と人間、あるいは国と国の戦いが止むことはないでしょう。そのとき、お互いの言い分を聞いてあげて、どっちが正しいとは絶対に言わずに、人間ってダメだな、不幸だなと言いながら、血が流れたら拭きましょう、ケガ人が出たら病院へ運びましょう、という役割を果たしていく国になれないものなのか。(井上ひさし