「(いじめられている君へ)鴻上尚史さん「死なないで、逃げて逃げて」」

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以下、朝日新聞デジタル版(2015/8/30 9:09)から。

 あなたが今、いじめられているのなら、今日、学校に行かなくていいのです。

 あなたに、まず、してほしいのは、学校から逃げることです。逃げて、逃げて、とことん逃げ続けることです。学校に行かない自分をせめる必要はありません。大人だって、会社がいやになったら、会社から逃げているのです。

 次にあなたにしてほしいのは、絶対に死なないことです。

 そのために、自分がどんなにひどくいじめられているか、周りにアピールしましょう。思い切って、「遺書」を書き、台所のテーブルにおいて、外出しましょう。学校に行かず、1日ブラブラして、大人に心配をかけましょう。そして、死にきれなかったと家にもどるのです。

 それでも、あなたの親があなたを無視するのなら、学校あてに送りましょう。あなたをいじめている人の名前と、あなたの名前を書いて送るのです。

 はずかしがることはありません。その学校から、ちゃんと逃げるために、「遺書」を送るのです。

 死んでも、安らぎはありません。死んでも、いじめたやつらは、絶対に反省しません。

 あなたは、「遺書」を書くことで、死なないで逃げるのです。

 だいじょうぶ。この世の中は、あなたが思うより、ずっと広いのです。

 あなたが安心して生活できる場所が、ぜったいにあります。それは、小さな村か南の島かもしれませんが、きっとあります。

 僕は、南の島でなんとか生きのびた小学生を何人も見てきました。

 どうか、勇気を持って逃げてください。(朝日新聞2006年11月17日掲載)