「所得格差が世界で拡大、13年は9.6倍 OECD報告」

f:id:amamu:20051228113106j:plain

アテネ=寺西和男
 以下、朝日新聞デジタル版(2015年5月22日15時01分)から。

 経済協力開発機構OECD)は21日、2013年の加盟国34カ国の所得格差に関する報告書を発表した。人口の上位10%の富裕層と、下位10%の貧困層の所得を比べると、OECD平均では9・6倍に格差が広がり、大半の国では格差は過去30年で最大になっていた。

 報告書によれば、所得格差は1980年代には7倍程度だったが、90年代には8倍程度、2000年代には9倍程度に拡大している。13年の国別では、メキシコ(30・5倍)が最大で、米国(18・8倍)、イスラエル(14・9倍)の順だった。日本やチリなど一部の国は11年のデータしかないが、日本は10・7倍で、このまま変わらなかったとすれば、格差の大きい国のトップ10に入る。最も低いのは、デンマーク(5・2倍)だった。

 一方、所得格差を表す指標とされる「ジニ係数」で比べると、チリ、メキシコ、トルコの順に大きく、日本はOECD平均を上回り10番目に格差が大きかった。

 OECD(17カ国分)の平均では、85年と比べると、上位10%の富裕層の所得は約50%増えたが、下位10%の貧困層の所得の増加は10%強にとどまっている。07年以降の経済危機で貧困層が富裕層より所得が減る割合が大きかった。

 OECDは背景として、所得や職業上の訓練機会などに恵まれていない非正規雇用などが増えていることを挙げた。95〜13年にかけて加盟国で生み出された雇用の半分が非正規雇用や自営業で、30歳以下では約4割を占めている。さらに、女性の社会進出が進んでいるが、所得は男性より15%ほど少ないことも格差の要因だと指摘した。

 OECDは格差拡大は長期の経済成長を妨げているとして、加盟国の政府に対し、雇用における男女平等、雇用機会の拡大、教育や技能の習得への投資拡大などへの取り組みを呼びかけた。(アテネ=寺西和男)