「首相、安保法案「合憲の根拠は砂川判決」 衆院特別委」

 以下、朝日新聞デジタル版(2015年6月26日11時51分)から。

 

 安倍晋三首相は26日、安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会で、「平和安全法制の考え方は砂川判決の考え方に沿ったもので、判決は自衛権の限定容認が合憲である根拠たりうる」と述べた。自衛権が「国家固有の権能」だとした1959年の砂川事件最高裁判決が、集団的自衛権の行使を容認する根拠になると明言した。憲法学者などからはこうした見解に異論が出ており、論点になりそうだ。

■安保法「砂川判決引用は珍妙」憲法学者、政府の矛盾突く

 首相は「砂川判決は明確に必要な自衛の措置は合憲であると認めた。憲法の番人としての最高裁の判断だ」と指摘。その上で「その中における必要な自衛の措置とは何か。まさに時々の世界の情勢や安全保障環境を十分に分析しながら、国民を守るために何が中に入るか考え続けなければいけない」と述べ、集団的自衛権の行使が合憲であると強調した。

 砂川判決は、旧日米安保条約の合憲性が問われたもので、憲法学者からは「日本の集団的自衛権が問われた判決ではない」との意見が出ている。昨年7月の閣議決定に向けた与党協議では集団的自衛権の根拠とすることに公明党が反発し、憲法解釈変更の直接の根拠に採用しなかった経緯がある。これまで首相は今月8日のドイツでの会見で「砂川判決の考え方と軌を一にするものだ」と述べ、直接の根拠とは断定していなかった。

 また首相は、国会会期を通常国会としては戦後最長の95日間延長したことについて、「国会での議論が不十分という意見が多いことは承知している。十分な審議時間をとり、国会での議論を通して国民に説明していきたい」と述べた。自民党今津寛氏の質問に答えた。(石松恒)