久しぶりに長尾藤三さんの「バイシクル・バイブレーション」を再読した

バイシクル・バイブレーション


 バイクに30年も乗っていた長尾さんが40代のときにバイシクルに3年乗った体験をもとにして本書は書かれた。

 ロードレーサーの面白さに気づいて書かれたこの本「バイシクル・バイブレーション」(1989年)は相当に面白い。

 本書からたくさん紹介したいが、少しだけ。


 ロードレーサーバイシクルとつきあうようになった友人たちが、異口同音に言うのは、暮らし方が変わってきちゃったってことです。
 タバコを喫わなくなった。
 エスカレーターより階段を上るようになった。
 食べすぎなくなった。
 飲みすぎなくなった。
 夜ふかししなくなった。
 ゴロ寝をしなくなった。
 余分な金を使わなくなった。
 つまりこれは要約すると、「からだを動かす面白さを知った」ということじゃないかな。この世の中、いろんな喜びがあるのでしょうが、つまるところ健康な体でイキイキと動きまわることくらい根元的な喜びはない。人間は動物であるということを確認する必要が、今ほど強い時はないのです。

 
 次もそのひとつ。

 生活に疲れ、文明に疲れたら、自転車に戻ってくればいい。これに乗っていると、正しい人間の道を走っている気がして、体は猛々しく、心はすがすがしくなるのです。

 
 著者にとってのジテンシャ本は、「バイシクル・バイブレーション」(1989年)が初めての本だったと思う。
 長尾さんの「おじさん自転車講座」(1994年)を、自転車の面白さに目覚めたずっとあとの1994年にリアルタイムで読んだ。
 1995年の阪神・淡路大震災の前のこと。もう20年以上も前の話になる。
 そのあとに、遡って「バイシクル・バイブレーション」を読んだと記憶している。
 「おじさん自転車革命」(2001年)もリアルタイムで読んだが、これは、長尾藤三さんが60歳のときに書かれた本。
 2008年に「快感自転車塾」。2009年に「熱愛自転車塾」。
 いずれも面白く、俺の大好きな本。

 なんといってもフリーランス・プランナー、そしてコピーライターの長尾さんの文章と文体が好きだ。
 しばらく遠ざかっていたけれど、また長尾さんの本を読んで、自転車に乗ろう。