「日本政府、文大統領の発言に抗議 くすぶる慰安婦問題」

 以下、朝日新聞デジタル版(6/24(土) 8:45配信)から。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が海外メディアのインタビューで、慰安婦問題をめぐる日本の対応が不十分との認識を示したことを受け、日本政府は23日までに外交ルートで韓国政府に抗議した。日韓両政府は7月の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)にあわせて日韓首脳会談を調整しているが、日本側は関係改善への機運に水を差しかねないと懸念を強めている。

 複数の日本政府関係者が明らかにした。文氏は20日の米ワシントン・ポスト紙のインタビューで、慰安婦問題について「(解決するためには)日本政府がその行為について法的責任を受け入れ、公式に謝罪することだ」と発言。日本外務省は22日、在韓日本大使館の鈴木秀生次席公使が韓国外交省の鄭炳元(チョンビョンウォン)東北アジア局長に電話し、「2015年末の日韓合意で『最終的かつ不可逆的解決』を確認している」と申し入れた。

 文氏はまた、22日のロイター通信のインタビューで「日本は、慰安婦問題を含む韓国との歴史問題を解決するための十分な努力をしていない」と指摘。日本外務省幹部が23日、在日韓国大使館次席公使に電話し日本政府の立場を伝えた。

 このほか、韓国・釜山市議会の福祉環境委員会は23日、日本総領事館前の「少女像」を市が保護することを可能にする条例案を全会一致で可決した。30日の本会議で成立する見通し。同市議会は日韓合意に反発する世論の影響を受けやすいとされており、日本政府が求める像の移転がさらに難しくなる可能性もある。

 北朝鮮への対応で韓国との連携を重視する日本は、慰安婦問題をめぐる不協和音が日韓関係全般に悪影響を及ぼすのは避けたい考えだ。外務省幹部は「(首脳同士が頻繁に行き来する)シャトル外交の再開にも影響を及ぼしかねない」(外務省幹部)と懸念する。(松井望美、ソウル=武田肇