「教訓I」(1971)加川良

教訓

 4月5日に加川良さんが亡くなったことを知ったのは4月も末のことだった。
 加川良のLP「教訓」(1971年)。そのLPはどこに行ったのか、いま手元に見当たらないが、当時の俺の愛聴盤だった。
 加川良のアルバムは、いまCDラックに、「教訓」、「親愛なるQに捧ぐ」、「やぁ。」、「アウト・オブ・マインド」、「ALIVE」が並んでいる。

 アルバム一曲目の「教訓I」という唄は、何よりも命が大切なものであることを、政治的・歴史的権力関係を踏まえて歌われている。


 命はひとつ
 人生は1回
 だから
 命を
 すてないようにネ

 あわてると
 つい
 フラフラと
 御国のためなのと
 言われるとネ


 だから、福島第一原発事故、そして戦前の、国民の権利がないがしろにされた教育勅語の評価、共謀罪法案の通過、憲法を守るべき首相が平和憲法の大改悪案を示すという、国民の権利が相当に抑え込まれ、逆に国家のほうが大手を振って優先される、まさにあべこべ政治が再び強められてきている今日、今一度、否、いまこそ歌われるべき唄であると感じてならない*1
 「聖歌」という題名で「教訓I」をカバーしている浜田真理子のパフォーマンスを今回初めて知ったが、これは感動的なカバーだった。
 「教訓」というアルバムは、「教訓I」以外も、全曲、命と生活を歌う唄がそろっている充実したアルバムだ。
 演奏もバンジョーフィドルアコーディオン・ピアノ・ドラムス・ギター・オーボエと、生々しい演奏を聞くことができる。

*1:加川良さん自身が「「教訓1」は歌うたんびに新曲です シンガー 加川 良さん」と言っている。(2014年11月16日 最終更新 2014年11月16日 14時02分) http://web.archive.org/web/20141117060722/http://www.nishinippon.co.jp/nlp/get/article/127395