「「かばっているの首相だけ」稲田氏発言、不満高まる自民」

amamu2017-07-01


 以下、朝日新聞デジタル版(2017年7月1日03時46分)から。

 東京都議選の応援演説で「防衛省自衛隊防衛大臣としてもお願いしたい」などと発言した稲田朋美防衛相は30日の閣議後会見で、「誤解を招きかねない発言」と改めて認めた上で自らの辞任は否定した。防衛相としての資質が問われるなか、十分な説明をせずに幕引きを図るかのような姿勢に、与党内では安倍晋三首相の任命責任を問う声も出始めている。


 稲田氏は会見冒頭で自らの発言を改めて撤回し、陳謝した。一方、「誤解を招きかねない発言があった」とも強調。「誤解」という言葉を約1時間の会見中、30回以上も繰り返した。

 稲田氏の発言は、公務員の地位を利用した選挙活動を禁じる公職選挙法に抵触する可能性が指摘されている。民主党政権だった2012年2月の沖縄県宜野湾市長選で、当時の沖縄防衛局長が職員に投票を呼びかける「講話」を行い、「沖縄県民に誤解を与えかねない」として国会などで問われた。この際、防衛省はこの局長を訓戒処分にし、次の人事異動で交代させた。

 会見で、稲田氏は「地位を利用した選挙活動の意図はない」と繰り返し、公選法に抵触する可能性を否定した。進退を問われても、「緊張感を持って防衛相としての職責を果たしていきたい」などと訴えた。

 こうした姿勢に与党内では不満がくすぶる。自民党村上誠一郎衆院議員は30日、民放テレビの番組収録で「反省が弱すぎる」と批判。今年4月、東日本大震災をめぐり「東北で良かった」などと発言した今村雅弘元復興相が事実上更迭されたことを取り上げ、「任命権者は大所高所から判断すべきだと思うが、安倍さんは友達を大事にするあまり厚遇しすぎている。(今村氏と)平等でないんじゃないか」と疑問を呈した。

 同党関係者によると、地方の自民党国会議員の事務所には、稲田氏の対応に抗議する苦情電話が相次いでいるという。こうした党内の雰囲気を察知してか、稲田氏は1日に予定していた東京都議選の応援演説をとりやめた。党関係者は語る。「稲田氏をかばっているのは結局、安倍首相だけだ」(相原亮)