「防衛省、「いずも」空母化検討 専守防衛反する恐れ」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2017年12月27日05時00分)から。

 防衛省が、海上自衛隊最大のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」を空母に改修し、航空自衛隊がステルス機能を持つ最新鋭戦闘機F35Bを導入し搭載する検討に入ったことがわかった。日本は憲法9条に基づく「専守防衛」を掲げ攻撃型空母など攻撃的兵器を保有してこなかった。改修後に実質的な攻撃能力をもつようになれば、防衛政策を大きく転換させる恐れが強い。

 複数の防衛省幹部が明らかにした。「いずも」は全長248メートル、基準排水量約1万9500トンの護衛艦で空母のように甲板が平らな構造をしているのが特徴だ。防衛省内では「いずも」の甲板を耐熱処理などしたうえで、垂直着陸が可能なF35Bを新たに導入して搭載する案が検討されている。

 「いずも」の空母化をめぐっては、2015年の就役以来、F35Bを搭載する案が航空自衛隊内などにあった。ただ、専守防衛の観点や中国などの反発を懸念する見方があり、検討は本格化していなかった。だが、来年末に防衛大綱と中期防衛力整備計画(中期防)の改定を控え防衛省で「空母化」の構想が再浮上。尖閣諸島沖縄県)など離島防衛に活用する「防御型空母」を名目とする案が検討されている。

 しかし、実際には「攻撃と防御の境目は説明が難しい」(防衛省幹部)。日本は憲法上、攻撃型空母をはじめ、大陸間弾道ミサイルICBM)や長距離戦略爆撃機など攻撃的兵器は、自衛のための「必要最小限度の範囲を超える」戦力にあたるとして保有を禁じており、議論になるのは必至だ。同省は首相官邸の判断を仰ぎながら、来年夏をめどに結論を出す考えだ。

 小野寺五典防衛相は26日の会見で、F35Bの導入を含めた「いずも」の空母化について「具体的な検討は現在行っていない」と否定したものの、「不断に様々な検討を行っていくことは必要だ」とも語った。(相原亮)