「権力が苦悩与えている」 疑惑残し…佐川氏、急転引責」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年3月10日10時05分)から。

 森友学園との国有地取引をめぐり、学園への便宜を否定する国会答弁を重ねた財務省前理財局長の佐川宣寿(のぶひさ)国税庁長官が急転直下、引責辞任した。森友問題で初めて、政府側が責任を認めた格好だ。しかし、疑惑は未解明のままで、事態はますます混迷の度を深めている。

 9日夜、財務省。大勢の報道陣が詰めかけるなか、麻生太郎財務相は佐川氏との面会を終えて、緊急の記者会見に臨んだ。

 「本人の申し出で退職することになった。国税庁長官として不適任という意識は私にはない。正直、残念だ」

 国有地取引に関し、書き換えられた疑いのある財務省の決裁文書の担当局長として、「結果次第でさらに重い懲戒処分になる可能性がある」と通告したことを明かしたが、肝心の調査結果については言及を避けた。

 書き換え疑惑で週明けに調査結果を出す直前に、なぜ佐川氏だけを減給処分にしたうえ、辞任させたのか。事実上の更迭にしては、政権の段取りはちぐはぐさが目立つ。会見の質問もこの点に集まったが、麻生氏は「(辞任を申し出た)本人の気持ちは理解してやらないといけない」「今でもきちんとした人だと思っている」などと繰り返すだけで核心には触れなかった。会見時間は約1時間に及んだ。

 麻生氏の会見後、報道陣の前に佐川氏が姿を現した。辞任を決意した時期を問われると「そこは明確でなくて、いずれにしても今日の朝、大臣に辞任を申し出たということ」と述べるにとどめた。

 佐川氏は理財局長だった昨年の通常国会で、森友学園問題での事実確認や記録の提出を拒み続け、「真相解明を阻んでいる」との批判を受けていた。そこへ決裁文書の書き換えという新たな疑惑が発覚。野党が引き続き証人喚問を求めていた矢先の辞任劇だ。

 財務省が満足な説明をできない状態が続き、国会は与野党対立の膠着(こうちゃく)状態が続く。自民党森山裕国会対策委員長は「一般人になられ、(国会招致が)難しくなった」と語り、早くも幕引きのための辞任であることを認めるかのようだ。

 しかし、そう簡単な話ではない…

 (後略)