杉山進著「遥かなスキー」を再読した

 杉山進著「遥かなスキー」を再読した。

 以下、ノルウェーの極地探検家・フリチョフ・ナンセンが残した言葉として、以下が「スキーの原点」の小見出しのもとで引用されている。

 「あらゆるスポーツの王者の名に値するスポーツがあるとすれば、それはスキーである。スキーほど筋肉を鍛え、身体をしなやかに弾力的にし、注意力を高め、巧緻性を身につけ、意思を強め、心気をさわやかにするスポーツは他にない。晴れ渡った冬の日にスキーをつけて森の中へ滑走してゆく―――これに勝る健康な、そして純粋なものが他にあるだろうか。深深と雪に覆われた森や山の素晴らしい自然に勝る、清純高貴なものが他にあるだろうか。樹木のある急斜面を飛鳥のように滑り下りることに勝る爽快新鮮な、生気をかきたてるものが他にあるだろうか。明澄な張りつめた冬の大気が、そして、タンネの小枝が頬をかすめ、我々の目も頭脳もそして筋肉も、不意に行く手に立ち現れる未知の障害物をかわすために極度に張りつめる。日常の文化生活はいっぺんに我々の後方彼方へ遠のいてしまうかのようだ。
 我々とスキーとは、そして自然とは、渾然としてひとつになってしまうのである。これはただ身体を鍛えるばかりでなく、心をも高め育てるものであり、国民にとって、多くの人々が漠然と予感しているよりも、さらに深い意義をもっているのである」