昨日のことだが、青年劇場の「きみはいくさに征ったけれど」を観てきた。
「きみはいくさに征ったけれど」は、素晴らしい舞台だった。
それは、第一に、大西弘記氏の戯曲のすばらしさだ。「きみはいくさに征ったけれど」は、戦中の竹内浩三をあつかっているが、現代の若者の問題とからめた話になっている。これはむずかしい仕事だが、この点で成功しているといえる。
第二に、すばらしいけれども、おそらく演じるのにむずかしいその戯曲をかたちにした俳優陣たちの努力だ。
とくに、竹内浩三役の矢野貴大(敬称略、以下同様)の演技は文句なく光っていた。
そして脇を固める高校2年生の来生宮斗役の林田悠佑。その担任役の中川為久朗。伊勢出身の女性の両親役の高山康宏と福原美佳。
シンプルな舞台設定で休憩なしなので、俳優陣のかけあい・からみあいが重要だ。
チームプレイがよくないと不自然な流れが出てしまうが、そんなところは見られない。俳優陣総力による努力の結晶というべき舞台だった。
青年劇場は、多くの若者に見てもらいたいと、学校での上演をめざしている劇団である。
過去の戦争の問題を、現代の若者の問題にもつながる問題として提示している「きみはいくさに征ったけれど」が、多くの学校現場で上演されることを期待したい。