「議員「失言」削除でいいの? 事実ゆがめる/圧力になる場合も 議事録、専門家ら懸念」

amamu2018-04-04


 以下、朝日新聞デジタル版(2018年4月4日05時00分)から。

 最近の国会の「対話と討論」の、そのレベルの低さには、唖然とさせられることが多い。
 とくにひどいのは自民党公明党。政権与党である。
 そのひどい質疑をおこなっている自民党公明党に、質問時間が長いというのだから、国会の議論が、さらに劣化していくことは火を見るより明らかだ。

 自民党の和田氏のひどい国会発言についても、テレビ中継を見て知っていた。

 議事録として、「削除」されると報道された際に、まさか問題発言だからといって議事録から「削除」されるだけではあるまいと、つまり、和田氏の発言があった事実は議事録に残るのだろう、そして当然にも削除の理由も議事録に付記されるのだろうと思っていたが、現政権のあまりのひどさに、適切な対応をするのか、不安を拭えないでいた。
 それで、以下の報道である。
 
 さすがです。
 あったことをないことにする。
 後世の検証を受けることもしようとしない。
 改ざん隠ぺい政権にふさわしい対応です。

 隠ぺい改ざん内閣のもとで、事実をねじ曲げる。ひいては歴史をねじ曲げる。
 無責任な発言が横行することを容認し、むしろ期待し、歓迎する。

 国会冒涜も、国民愚弄も、ここに極まれりであります。

 批判を受けたら議事録削除? 最近、国会でそんなケースが相次いでいる。だが、議事録は、発言した政治家の資質や発言のきっかけになった政治的背景を知るための材料で、史料としての価値がある。そもそも、一度出た言葉は簡単には取り消せないもの。削除は安易すぎないか。

 「民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めており、増税派だから、アベノミクスをつぶすために、安倍政権をおとしめるために意図的に変な答弁をしているんじゃないか」。森友学園の土地取引をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題が取り上げられた3月19日の参院予算委員会自民党和田政宗氏は、財務省の太田充理財局長に問うた。

 しかし、自民党内でも批判が広がり、翌20日の予算委理事会で、和田氏本人の同意を得て議事録からの削除が決まった。麻生太郎財務相まで「その種のレベルの低い質問はいかがなものか。軽蔑はします」と述べた。

 13日の参院予算委中央公聴会では、自民の渡辺美樹氏が、過労死した人の遺族に「国会の議論を聞いておりますと、働くことが悪いことであるような、そんな議論に聞こえてくる。できれば週休7日が人間にとって幸せなのかと、そのように聞こえてくる」などと発言。遺族らが発言の撤回と謝罪を求め、議事録から削除される予定だ。

 衆参両院の規則では、削除を含む「訂正」は「字句に限る」とされ、発言の趣旨を変更することができないと定められている。だが、実際は「失言」に近い発言が取り消されるケースもある。国会法や規則では、議長や委員長が議会の品位を傷つけたと判断すれば、その議員の発言を取り消すこともできる。

 議員にとって国会での発言は重いはずだが、批判されたからといって、簡単に削除していいのか。武蔵勝宏・同志社大教授(立法学)は「和田氏や渡辺氏の発言が、言い間違いや錯誤に基づく発言だったといえるのか疑問だ。国会での発言に議員は責任を負うべきで、今回のような発言の訂正を安易に認めるのは事実をゆがめる。どんな問題発言でも、記録に残すべきだ」と指摘する。有権者にとっては選挙で候補者を選ぶ際の参考にもなるが、発言が削除されては判断もできない。

 発言の削除や修正の要求は、議員への「圧力」になる場合もある。社民党福島瑞穂氏は2015年4月の参院予算委で、当時の安全保障関連法案を「戦争法案」と呼び、自民党理事が修正を要求した。結局、理事会の協議で「発言通りとする」と決まったが、「政府・与党が気にくわない発言だから削除だということになれば、国会は成り立たない」(松野頼久・維新の党幹事長=当時)との批判も出た。

 ■痕跡残らず、検証困難に

 仮に削除したり、修正したりする場合でも、方法が問題だ。(1)削除した部分を太線に置き換える方法と、(2)字句そのものを削除したり、書き換えたりする方法――の二通りある。

 (1)の場合、削除された箇所はわかる。しかし、内容を知るには、衆参両院がネットで公開している動画などで確認するしかない。衆院文部科学委で昨年11月、日本維新の会足立康史氏が特定の議員を「犯罪者」と名指しした発言は、太線に置き換えられた。

 だが、和田氏の発言は、理事会での協議の結果、修正の痕跡が残らない(2)の形で削除される予定で、議事録を見ても、どの発言が削除されたかがわからない。

 公文書管理に詳しい下重(しもじゅう)直樹・学習院大准教授は「公文書管理の観点から、(元の発言を)訂正したこともわからない状態になることは問題だ」と指摘。「削除や訂正の判断は、その時々の政治の論理に左右されがちだ。どんな発言が、なぜ訂正されたのかの過程もきちんと公開し、その判断の是非も含めて国民が検証できるようにする必要がある」と話す。

 (村田悟、仲村和代)

 

 ■議事録から削除された最近の国会議員の主な発言(一部は予定)

 ◇17年11月15日 足立康史衆院議員(日本維新の会) 衆院文部科学委

 加計学園の問題について、他党の議員3人の名前を挙げ、獣医師会から献金をもらって国会質問しているとして「犯罪者」などと表現

 →太線に置き換え

    *

 ◇18年2月28日 福田昭夫衆院議員(無所属の会) 衆院本会議

 森友学園について「安倍総理のお友達が理事長を務めていた」

 →削除

    *

 ◇3月13日 渡辺美樹参院議員(自民) 参院予算委中央公聴会

 過労死の遺族に、「国会の議論を聞いていますと、働くことが悪いことであるかのような議論に聞こえてきます。お話を聞いていますと、週休7日が人間にとって幸せなのかと聞こえてきます」

 →一部を削除

    *

 ◇3月19日 和田政宗参院議員(自民) 参院予算委

 財務省の太田充理財局長に「民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めており、安倍政権をおとしめるために意図的に変な答弁をしているのか」

 →一部を削除