「ロバート・キャンベルさん同性婚公表 杉田氏寄稿を批判」

 以下、朝日新聞デジタル版(2018年8月15日21時23分)から。

 自民党杉田水脈(みお)衆院議員が月刊誌に性的少数者を差別する内容の寄稿をした問題を受け、国文学研究資料館長のロバート・キャンベル東大名誉教授(60)は自身のブログで同性愛者であることを公表し、「ふつうに、『ここにいる』ことが言える社会になってほしい」と訴えた。

「生産性」って何 杉田氏は人の価値の尺度にしたけれど

 キャンベル氏は15日に東京都内で朝日新聞の取材に応じ、発信の理由について「電子空間を通して杉田氏の主張が拡散し、多くの人々を苦しめ、傷つける材料となっている。自らの属性を明らかにしたうえで、反駁(はんばく)しなければならないと思った」と語った。

 1985年に来日し、来年で連れ添って20年になる日本人の同性パートナーがいる。昨年8月には米・ニューヨーク州で法的にも婚姻関係となった。これまでも友人や仕事の関係者など周囲には話していたが、広く公表するのは初めてという。

 キャンベル氏は杉田氏の寄稿のうち、同性カップルを念頭に「子供を作らない、つまり『生産性』がない」とした記述について「歯牙(しが)にかけるにすら値しない」と一蹴した。

 さらに「女子校では女性が疑似恋愛の対象になるが、成長するにつれ、みんな男性と恋愛して、普通に結婚した」「(同性愛を当然とする報道が)普通に恋愛して結婚できる人まで、『これ(同性愛)でいいんだ』と、不幸な人を増やしかねない」とした部分を問題視。「カミングアウトできずにいる若い当事者を苦しめてきた典型的な誤った主張だ。放置してはいけない」と強調し、「(性的少数者を)積極的に排除はしないが、制度上の公認もしない。そんな日本の空気を見直すべき時期に来ている」と述べた。(二階堂友紀)