「公文書改ざんスクープ 本社に新聞協会賞 技術部門でも」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年9月5日14時21分)から。

 日本新聞協会は5日、2018年度の新聞協会賞を発表した。朝日新聞社は編集部門で「財務省による公文書の改ざんをめぐる一連のスクープ」(東京社会部・大阪社会部の取材班)、技術部門で「編集部門向けデジタル指標分析ツール『Hotaru』の開発」が選ばれた。10月16日に仙台市で開かれる第71回新聞大会で授賞式がある。

 改ざん問題は3月2日付朝刊で初めて報じた。学校法人・森友学園との国有地取引をめぐる財務省の決裁文書が書き換えられた疑いがある、とスクープした。さらに、財務省が事実関係の認否を明らかにしないなか、当初の決裁文書に記載された内容が項目ごとなくなっていることなどを続けて報道した。

 最初の報道から10日後、財務省は14件の文書で改ざんを行っていたことを認め、公表した。国会議員秘書から取引について照会を受けていたとの記載や、安倍晋三首相の妻昭恵氏をめぐる記載を文書から削除し、国会や会計検査院に提出していたことが明らかになった。

 国有地取引をめぐる問題は、2017年2月に朝日新聞が報じた記事などで表面化した。文書の改ざんは同年2月下旬から4月にかけて行われており、同時期には関連文書の廃棄を進めていたことも分かった。財務省は今年6月、当時理財局長だった佐川宣寿氏が改ざんや破棄を主導したとし、佐川氏ら職員20人を処分した。

 公文書管理法で「民主主義の根幹を支える」と定められる文書を改ざんした事実は社会に衝撃を与え、財務省は厳しい批判を受けた。新聞協会は授賞理由で、「民主主義の土台を根底から揺るがす行為を明るみに出した一連のスクープは、歴史に残る優れた調査報道」などと評した。

 技術部門で選ばれた「Hotaru」は、ニュースサイト「朝日新聞デジタル」に配信した記事が読者にどのように読まれたかを可視化するために開発した分析ツール。よりニーズの高い記事を作成し、求められるタイミングで配信するうえで、記者や編集者の意識向上に役立つことが評価された。

 技術部門の授賞は「Hotaru」のみ。編集部門のその他の受賞は次の通り。

 毎日新聞社「旧優生保護法を問う」▽河北新報社「止まった刻(とき) 検証・大川小事故」