「アベノミクスの恩恵、届いていますか 家の高騰「異様」」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年9月10日13時59分)から。

 マイホーム購入を考えていた東京都内の男性会社員(27)は昨秋、ネットで新築マンション価格を調べて驚いた。年収の6〜7倍の5千万円以内の予算で、職場近くの新宿区や中野区で70平方メートル程度、3LDKで探すと多くが6千万円超だった。結局「とても手が出ない」と、郊外の小平市内の4200万円のマンションを買い、今年6月に入居した。

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」の中核は、日本銀行黒田東彦(はるひこ)総裁が2013年4月に始めた異次元の金融緩和だ。市場に大量のお金を流し、金利を下げ、消費や投資を活発にしようとした。

 そのお金は不動産市場に流れ込んだ。住宅ローン金利低下でマイホームの需要は高まり、20年東京五輪に向け都心再開発も進む。不動産価格上昇を見越した取引が活発だ。

 18年の路線価は全国平均で3年連続の上昇で、東京・銀座では昨年、バブル期の水準を超えて最高値となった。不動産経済研究所によると、今年上半期の首都圏の新築マンションの平均価格は5962万円。上半期ではバブル期以来の高水準で、大規模緩和前の12年上半期の1・3倍だ。

 一部のマンションなどは価格が上がり過ぎ、働き手が買えない水準になっている。都心のマンション購入をあきらめた男性は「ここまで上がるのは異様だ」と話す。

 金融緩和による円安・株高で大企業は過去最高益となった。アベノミクスの恩恵はまず大企業や投資資金を持つ富裕層に回る。消費の現場も富裕層向けは活況だ。

 (後略)


(北見英城、高橋克典、筒井竜平 岡村夏樹、湯地正裕)