「柴山文科相、教育勅語を「国として検討とは言ってない」」

f:id:amamu:20051228113104j:plain

 以下、朝日新聞デジタル版(2018年10月5日15時19分)から。

 柴山昌彦文部科学相は5日の会見で、就任会見で教育勅語について「道徳などに使うことができる分野は十分ある」と発言したことについて「国として検討するとか、積極的に推奨する準備を進めているとか、そういうことはみじんも申し上げていない」と釈明した。発言をめぐっては、野党や教育関係者から「戦前回帰」「憲法違反だ」などと反発が出ていた。

 柴山氏は5日の会見で教育勅語についての認識を問われ、「過去に日本人を戦争に駆り立てた部分もあるかもしれない」としたうえで、「世界中から日本の規律正しさや、お互いを尊重する気持ちが尊敬を集めていると見て取られる部分もある」と発言。「そういう趣旨から、教育勅語そのものを離れ、友人を大切にするという考えは、現在の教育においても通用すると申し上げた」と述べた。

 就任会見で「現代風に解釈され、あるいはアレンジした形で、道徳などに使うことができる」と述べたことについては、「政府のレベルで教育現場に活用を推奨するということではない」と説明。「わが国の先人たちが世界から尊敬され驚嘆されるような道徳を育んできたというのは事実なので、一部の個人、団体がそういうことを踏まえて教育勅語をアレンジした形で教材として使ったり検討したりは十分理解できる」と語った。

 一方、教育は日本国憲法教育基本法の趣旨を踏まえ、現行の学習指導要領に沿うべきだと述べ、教育勅語の活用は「教育現場で判断すべきだ」と語った。

 戦前教育の中心となった教育勅語は戦後、日本国憲法に相いれないとして国会で排除・失効が決議されている。安倍内閣は昨年3月、「勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導」を不適切とし、「憲法教育基本法等に反しない形で教材として用いることまでは否定されることではない」という答弁書閣議決定している。(矢島大輔)