以下、朝日新聞デジタル版(2018年11月13日10時43分)から。
「100マイル(約160キロ)の球を投げ、10盗塁を決め、ホームランを20本以上打つ。そんな選手は、非常にまれだ」。今季終盤、大谷の大リーグ1年目について問われたエンゼルスのソーシア監督(当時)は、そう言って、大谷の高い能力を改めてたたえた。
2度の右ひじ靱帯(じんたい)損傷で、投手としての力を出し切れなかったことは否めない。それを打力、特に長打力でカバーした。
5割6分4厘の長打率は、新人王選考のライバルとみられたアンドゥハーの5割2分7厘を上回る。大リーグで重視される長打率と出塁率を合わせたOPSの数値でも、アンドゥハーの・855に対し、大谷は・925だった。
シーズン終盤は走力を誇示した。10盗塁のうち、8、9月で4個ずつと一気にペースを上げた。「(日本ハム)ファイターズのときは、自分以外にも走る選手がたくさんいた。今は、自分が走れば、得点のチャンスが増えると思っている」と大谷。右ひじ故障で投げられなくとも、勝利へ貢献するために自ら出した答えだ。
シーズン最終戦が終わったクラブハウス。チームリーダーで、2012年の新人王、マイク・トラウトは叫んだ。「ショウヘイが、新人王だ」。投げて、打って、そして走る。野球選手が理想とするすべての能力と魅力を併せ持った24歳が、数多くのルーキーたちのなかから新人王に選ばれたのは、必然といえる。
(山下弘展)