以下、朝日新聞デジタル版(2018年12月3日21時07分)から。
衆参法務委員会の野党委員が3日、失踪した外国人技能実習生2870人に対する昨年の法務省調査の元資料である聴取票を分析した結果、67・6%の1939人が最低賃金割れだったと発表した。法務省は複数回答の結果、失踪の理由として「最低賃金以下」を0・8%、22人としており、実習の実態が大きく異なることを示す結果となった。野党は4日の参院法務委で追及する構えだ。
聴取票は、実習先から失踪して摘発された実習生から理由や置かれた状況などを個別に聞き取ったもの。野党議員に閲覧が許可されたが、複写は禁じられており、手分けして書き写したという。
野党の分析によると、ほかにも「過労死ライン」とされる月80時間以上の時間外労働をしていた実習生が全体の1割、292人いた。失踪の理由は、指導が厳しい(181人)、暴力(139人)、強制帰国(81人)など。セクハラ(4人)、妊娠(1人)もあった。
調査をめぐっては、法務省は当初、約87%が「より高い賃金を求めて」失踪したとしていたが、11月になって「低賃金」を理由に失踪したのが約67%だった、と項目も数字も訂正した。山下貴司法相は「心からおわび申し上げる」と国会で謝罪した一方、技能実習制度と新設される在留資格は「別物だ」として、出入国管理法改正案への影響は否定している。国民民主党の山井和則衆院議員は「(政府は)法務省の虚偽の報告をもとに法案をつくった。審議の前提は崩れたと言わざるを得ない」と批判した。