「水道民営化の導入促す改正法が成立 野党「審議不十分」」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年12月6日13時41分)から。

 水道事業を「民営化」しやすくする改正水道法が6日の衆院本会議で採決され、賛成多数で可決、成立した。水道の民営化をめぐっては、海外で水道料金の高騰や水質悪化などのトラブルが相次いでおり、野党側は「審議不十分」などと反発していた。

 改正案は7月に衆院で可決後に継続審議になった。今国会では参院厚労委で審議が始まり、厚労省が検証した海外の民営化の失敗例が3件のみだったことや、内閣府の民営化の推進部署に「水メジャー」と呼ばれる海外企業の関係者が働いていることが露呈。野党は問題視して追及を強めていたが、5日の参院本会議で可決後、与党側は審議なしで同日の衆院厚労委で、採決を強行した。

 改正案は、経営悪化が懸念される水道事業の基盤強化が主な目的。水道を運営する自治体などに適切な資産管理を求め、事業の効率化のため広域連携を進める。さらにコンセッション方式と呼ばれる民営化の手法を自治体が導入しやすくする。コンセッション方式は、自治体が公共施設や設備の所有権を持ったまま運営権を長期間、民間に売却できる制度。水道では導入例はない。自治体が給水の最終責任を負う事業認可を持ったまま導入できるようにし、促す狙いがある。

 ただ、先行する海外で料金高騰や水質悪化などの問題が起きていることを踏まえ、国などが事業計画を審査する許可制とし、自治体の監視体制や料金設定も国などがチェックする仕組みも盛り込んだ。ただ、契約期間は通常20年以上とされるため、災害時の対応や自治体の監視機能への疑問、株主配当や役員報酬による割高な料金になるといった懸念は根強い。(阿部彰芳)