「最後の言葉は「息ができない」 記者殺害現場の録音か」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年12月10日17時12分)から。

 サウジアラビア人記者のジャマル・カショギ氏がトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館で殺害された事件で、米CNNは9日、カショギ氏の最後の言葉は「息ができない」だったと報じた。殺害現場での録音の書き起こしを読んだ関係者が明らかにしたという。

 カショギ氏は今年10月、結婚手続きの書類を受け取るため、婚約者を外に待たせて1人で総領事館に入った後、館内で殺害された。

 CNNによると、総領事館でカショギ氏を出迎えた人物が「あなたを(サウジに)帰国させる」と告げると、カショギ氏は「そんなことはできない」と反発。その後、数人がカショギ氏に襲いかかったとみられ、カショギ氏が「息ができない」と繰り返した後、「叫び声」が続いた。

 カショギ氏の死亡後は、遺体を切断しているとみられる人物が他の実行犯メンバーに「イヤホンをつけろ。私のように音楽を聴け」と促す様子も録音されているという。また、メンバーが現場から少なくとも3回、電話をかけ、「事は終わった。そちらに伝えてくれ」などと発言した様子も録音されているという。相手はサウジのムハンマド皇太子の側近とみられる。

 米国では、複数の主要メディアが「殺害はムハンマド皇太子の命令だったと中央情報局(CIA)が結論づけた」と報じ、議会でも皇太子の責任を追及すべきだという訴えが与野党を超えて広がっている。だが、トランプ大統領はサウジへの巨額武器輸出を重視し、一貫して皇太子を擁護する立場を保っている。

 また同事件をめぐり、トルコの裁判所はムハンマド皇太子の側近2人に対する逮捕状を出したが、ロイター通信などによると、サウジのジュベイル外相は9日、2人の身柄引き渡しに応じない姿勢を示した。(ワシントン=杉山正)