3月下旬に引退した元プロ野球選手のイチローさん=本名鈴木一朗=が、政府が授賞を検討していた国民栄誉賞を辞退した。辞退は2001年と04年に続き、今回で3回目。政府が代理人を通じてイチローさんに打診したが「人生の幕を下ろした時にいただけるよう励みます」との回答があった。本人の考えを尊重して授賞検討の見送りを決めたという。

 菅義偉官房長官が5日、閣議後の会見で明らかにした。菅氏は会見で「(イチローさんは)これまでも多くの人に夢や希望を与え続けてきたスーパースターだ。国民の皆さんとともに今後の活躍を楽しみにしたい」と話した。

 イチローさんは、1991年秋のドラフト4位でオリックスに入団。94年に日本プロ野球史上初のシーズン200安打を達成し、同年から7年連続の首位打者となった。

 2000年オフに米大リーグマリナーズに移籍し、01年に首位打者盗塁王となり、ア・リーグ最優秀選手(MVP)、新人王を受賞。04年に大リーグ新記録となるシーズン262安打を放つなど、日米通算で4367安打を記録した。(田嶋慶彦)